ゲームパッドでいちばん大事なこと（選びかた）

ゲームパッドはスティックが命

ゲームパッドを買ううえで何より重要なのは「スティック」。

キャラクターの移動（左スティック）とカメラ・視点操作（右スティック）を担うゲームパッドでいちばん重要な部分です。

はじめにスティックにおける基礎知識を解説します。

ポーリングレート

一秒間の入力回数を指します。単位はHz（ヘルツ）で数字が大きいほど入力精度が高いです。
しかし残念ながらコントローラーの詳細なスペックを公表しているメーカーはほとんどないです。

gamepadlaというゲームパッドの遅延やポーリングレートの検証データをまとめたサイトがあるのでそこを参考にするといいです（サイト内の言語は英語のみ）。

参考例としてメジャーなゲームパッドのポーリングレートを一部紹介します。

デッドゾーン

デッドゾーンとはスティックの入力判定を無効にする範囲設定です。スティックがニュートラルの状態（中心部分）からの一定範囲を指し、「インナーデッドゾーン」とも言います。逆にスティックの外周部分にデッドゾーンを入れる場合もあり、「アウターデッドゾーン」と呼ばれます。

なぜデッドゾーンが設定されるのか。

• ドリフト現象を抑える（インナーデッドゾーン）
• スティックの最大入力を短縮する（アウターデッドゾーン）

ドリフト現象とは何も操作していないのにキャラクターやゲーム画面が勝手に動くことです。正確には「スティックが勝手に入力されたままの状態になっている」こと。
デッドゾーンはこのドリフト現象を抑えるために設定されています。

アウターデッドゾーンはスティックを最大まで倒さなくても入力が最大になります。少ない傾きで入力が最大になるので反応速度が高くなります。

デッドゾーンはいらない！？

APEXなどのさまざまなゲームのパッド設定の解説で「デッドゾーンはかならずオフにしましょう」とおすすめされます。当然エイムがしやすくなるからですが、どうしてオフにするべきなのか。

デッドゾーンのメリット・デメリット

デッドゾーンのメリット

• ドリフト現象を抑える
• スティックの最大入力を短縮する

こちらは前述したとおりです。

デッドゾーンのデメリット

• スティックの中心部分での微細な操作ができない（インナーデッドゾーン）
• スティック全体の入力幅がせまくなり、おおざっぱな操作感になる（インナー・アウター両方）

インナーデッドゾーンがあると中心部分での微細なスティック入力ができなくなります。そのため遠くで動いている敵を狙うような細かいエイム調整ができません。

またスティックを上から下、左から右といった視点移動の切り返しが遅れてしまうので近距離戦や不意打ちにすばやく反応するのがむずかしくなります。

そしてインナー・アウター両方ともデッドゾーンが入るということは入力幅がせまいということです。
するとゆっくり視点を動かしたいのにグイッ、グイッと大きく動いてしまい、思い通りの操作ができないというデメリットがあります。

デッドゾーンはクレーム対策で入れている

操作性を悪くするのになぜメーカーはデッドゾーンを入れたがるのか。それは「ドリフト現象」によるクレームを避けるためです。

ドリフトで勝手にキャラクターが動いたり、カメラ操作がズレたりするのはやはり快適性を損ないます。そして「触ってないのに勝手に動くなんておかしい。このパッドは不良品だ！」とクレームを入れられてしまうためです。

ですが実は、スティックの入力部品の構造上、たとえ新品でどんなに高級なパッドでもかならずドリフトします。視点が一気に動いたり、右を入力しているのに視点が左に動いてしまうようなひどい症状は間違いなく初期不良ですが、「ジリジリと少しずつ動く」程度のドリフトは起きて当たり前なんです。

しかしゲームジャンルによってはデッドゾーンが入ってるほうがドリフト現象が起きにくく使いやすいのでユーザー側でオンオフ設定できるのが一番です。PCで使用できるゲームパッドには専用アプリをダウンロードして詳細な操作設定が可能なものもあります。

理想的なデッドゾーン設定

参考例としてDualShock４のスティックを見てみましょう。

左下の某製薬会社のようなマークがスティックをテストした結果表です。

スティックの入力域は本来、丸い形になるほうが正しいのかもしれませんが、実際はこの結果のような四角形の形になるのが理想的なんです。この形によって「入力速度を高めつつも入力精度を損なわない」いちばん快適な操作性を実現できます。

③についてもう少し補足します。私たちは機械のように寸分違わず正確に手を動かせるわけではありません。たとえばスティックを右に入力したとしても、実際は上下の右斜めにずれて入力されていることがほとんどです。

もしスティックの本来の入力範囲（丸形）だった場合、少しでも斜めにずれただけで最大入力が落ちてしまいます。入力判定が小さくなれば移動や振り向きが意図せずに遅くなってしまいます。

多少入力がズレても最大入力になるように調整されているおかげで私たちは直感的かつ快適にゲームをプレイできるわけです。

ゲームパッドを選ぶコツ

安すぎるものは基本ダメ

一番わかりやすい基準はズバリ「価格」です。

「ボタンが多くて便利！」「連射・ジャイロなど多機能！」と商品説明がびっしりと書かれていても、価格が安いゲームパッドはデッドゾーンががっつり入っています。そして耐久性が悪く、すぐ壊れます。

最低でもどのくらいのお金を出すべきか。私の主観と過去に安物に手を出して失敗した経験から考えて、「6000円以上」の商品を選ぶのがオススメです。

専用アプリの有無

PC限定になりますが、専用アプリが用意されているゲームパッドのほうが便利です。デッドゾーンやボタン設定など細かい設定をやりたいゲームに合わせて設定できます。

おすすめゲームパッド

家庭用ゲーム機は公式パッドでOK

家庭用ゲーム機の場合は迷わず公式パッドを使いましょう。いちばん価格が安く、性能もばっちりです。

DualShock4

DualShock4はPS4とともに登場し、かれこれ10年以上経ちますが、これほど出来の良いパッドはないと思います。入力精度はもちろん本体グリップの握りやすさ、ボタンの押しやすさも良く私のような手が小さい人でも扱いやすいサイズ。
そして性能重視のパッドのなかでも比較的安く手に入ります。

BIGBIG WON BLITZ2

最新世代のゲームパッドでも群を抜いています。2000Hzのポーリングレートで滑らかさが今までにない感覚です。またボタンの押し心地もマウスのクリックのようなカチッとした操作感で押しやすい。
専用アプリも用意されており、デッドゾーン・反応曲線・スティックの位置調整（ドリフト予防）など細かく設定できます。おすすめゲーム）

まとめ　良質なゲームパッドが増えるためには

ゲームパッドはピンキリ。そして粗悪品が世に出続けるのは買ってしまう人が後を絶たないからです。

もちろんわざわざ粗悪品を欲しがる人なんていません。ゲームパッドといえど正しい知識を持たずに買うとかならず失敗してしまいます。良質なものを選べる人が増えれば、粗悪品が市場から消えるかもしれません。そう願って本稿を締めさせていただきます。